No.36

【11日目】刑事探偵黙示録
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メインストーリー第一章

第五話

◆桜雅街中央公園
冴木「ごめんなさい、ちょっとお話伺ってもよろしいかしら?」

押坂(わぁ、綺麗な人……)
押坂「えっと、構いませんが……あの、その前に、私はこういう者でして」

そう言いながら、懐から警察手帳を取り出して見せる。

冴木「あら?もしかしてあなたも警察のひと?」
冴木「アタシは刑事異能力部ヒーロー課の者よ、異能力とか魔力特化の」
冴木「噂くらいは聞いたことあるんじゃないかしら?」


押坂「! ヒーロー課の方だったんですね……!お初にお目にかかります」
押坂「先日警視庁に異動になりました、押坂栞花です。よろしくお願いします」

冴木「ええ、よろしくね」
冴木「アタシは冴木歩。あなたはどこの所属なの?」


押坂「実はまだ所属が決まっていなくて……」
押坂「とりあえず今は四方田さんの班に置いてもらっています」

冴木「あら、そうなの?」
冴木「四方田さんにはよくお世話になっているから……。ふふ、仲良くしてちょうだいね!」


押坂「はい、ぜひ!」
押坂「……ところで、冴木さんはどういった用件でここに?」

冴木「……まさか警察のひとに遭遇するとは思わなくて油断しちゃったんだけどね」
冴木「今から話すこと、できれば内緒にしておいてくれない?」

冴木「今話題になっている、桜の神隠しって知っているかしら」


「『桜の神隠し』ですか……? すみません、初耳でした」

冴木「『満月の夜に桜の木の下に行くと、神隠しに遭う』……」
冴木「桜雅街の都市伝説なのよ」


押坂(これって四方田さんが言っていた、満月の夜には出歩くなって話……)

冴木「今までは都市伝説だからって誰も気に留めてなかったんだけどね、最近何故か満月の夜に失踪者が続出しているの」
冴木「それも……失踪者には特徴があってね」
冴木「写真家、画家、デザイナー、音楽家……どれもアーティストと呼ばれる存在だわ」
冴木「しかも彼らは失踪前、近所のひとの証言やSNSでは『最近上手くいっていない様子だった』とか、『スランプが目立っていた』とか言われているの」


押坂「何らかの予兆はあった……というわけですね」

冴木「上からはヒーロー課の捜査命令は下ってないわ、でも絶対なにかおかしいの」
冴木「現に一向に捜査は進展していない……、このままじゃ被害者は増える一方だわ」
冴木「押坂くん、なにか情報がわかったら教えてくれる?」


押坂「実は私もこの桜がどうも気になっていて……」
押坂「何か協力できることがあれば、全力でお手伝いしますね!」

冴木「ありがとう!」
冴木「随分話し込んじゃったわね。アタシはそろそろ戻るわ、それじゃあまた会いましょ」

冴木はウィンクをして手を振る。


押坂(美形の人のウィンクって眼福だな……)

少し余韻に浸っていたが、ハッと我に返ってもう一度桜を見上げる。
なにも変わらない光景だが、やはり胸騒ぎを感じるのだ。
と、そのとき。


「っわぁ!」

いきなり強風に襲われ、思わず目を閉じてしまう。
ざわざわとざわめく木々の音だけが聞こえて――そして静かになって行った。



◆奇妙な美術館
「うぅ、なんだったの……って、あれ?」

目を開けると、そこに見えたのは桜雅街中央公園の光景ではない。
パースの歪んだ、まるで不思議の国のような、奇妙な美術館がそこにあった。


「ここは一体……」

いくつも飾られた絵画。
その中からはいくつもの苦しみと悲しみの声が上げられていた――。


◇◇◇

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